生きているということ

大事にしたいことを大事にしたい
ということをもっと大事にできる世界を見ていたいし、作りたい、というのが今年の目標です。

それぞれに思い描いている世界は、きっと大事なもので溢れているのに、制度や決まりや世間の目や立場や、やらなくてはいけないことなどの間でいつしか削ぎ落とされてしまいがちな「大事にしたいこと」。

多分それは、あらゆる場面で人々の葛藤になっていることがあるような気がします。そして、自分だけが争っても無意味かもしれないといつか諦めになってしまう「大事にしたいこと」。

政治のこと、世の中のこと、教育のこと、私たちは今、過渡期を生きているのだと思うと、誰しもがまだ芽を出していない種を持ったまま生きているのかもしれないとさえ思うようになりました。

私自身、たくさんの失敗をし続けてきたと思います。だからこそ言えることもあると思えるようになったのは、ここ最近、やっとです。

失敗して、かっこ悪くて、直そうとしてもできないこともたくさんあって、でもできる限り、「言ってることとやってること」が一致している人間になりたいと願って、「なりたいものがあったわけじゃない、なりたくないものがあっただけなんだ」って三宅洋平が唄っていたけど、その通りかもしれない。

自分にできることと、やりたいことを限りなく一致させていくことで幸せを感じるのだということ。それは、社会という仕組みの中で生きていくには自分の手でしっかりと「枠」を意識して「外し」ていくことになること。つまり、「空気を読む」という社会の仕組みを理解した上で、「読まない」という選択をしていくこと。

以前、「勉強は何のためにするの、と子どもに問われたらどう答えますか?」というワークを研修会で先生方に問いました。いろんな答えがあっていいと思います。今のところ、わたしの答えは、「自由になるため」です。

「自由」になるということは、自分の意見を言えるようになること、自分の選択の幅を自ら広げていくこと、相手の自由を自分と同じように、自由に感じることができるようになることかなと思っています。

芽吹きのタイミングは本当にそれぞれ。それは、誰かがきっと違和感を感じたり、気になったり、疑問に思ったり、そういうちょっとしたことがきっかけかもしれません。それをきっかけに、何かが少し変わること、何かが少し成長すること。もしかしたらそれ自体を、「生涯発達」というのかもしれないと最近は思います。

大人が自分自身を成長させていくこと。それは、きっと「忘れられなかった大事なことを思い出すこと」なのかもしれません。すでに持っている魅力のタネを芽吹かせること。そのきっかけづくりとしての、TANEの役割を果たしていけたらと思っています。

今年もどうぞよろしくお願いいたします。


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櫻井育子(さくらいいくこ)
生涯発達支援塾TANE 代表(コーディネーター)

「違いは魅力」をテーマに、子どもから大人まで特性を活かしてのびのびと発達するための、アセスメントとコーディネートを行う。
 東北福祉大学福祉心理学科を卒業後,発達障害の子どもたちと出会い、宮城教育大学の大学院で障害児教育を学ぶ。2003年に「NPO石巻広域SSTの会アドベンチャークラブ」を立ち上げる。小学校,特別支援学校の教諭経験後,2016年に退職。生涯発達支援の重要性に気づき「生涯発達支援塾TANE」を主宰。書道塾taneは「誰でも調子に乗れる書道」をモットーに石巻、仙台、各地で移動開催中。TANE相談室も定期開催中。