幼い時から皮膚が弱く、アレルギー性なんとか、と言われることも多く薬を飲んだり塗ったりしていた。この時期になると、湿疹が出たりする。しかしまあ、時期的なものなので、夏は大変ね、くらいですんでいた子ども時代。

大人になってから発症した皮膚のトラブルは最初は大学時代で、はじめて「アトピーかな」と言われる。その後から、なんとなく定期的に繰り返し、その度に薬で収めるというやり方で、30を過ぎたあるとき、それはそれは突然にひどくなり、薬はもはや効かなくなってしまった。

自分の身体とはいえ、「なおらない」という怖さ。原因不明という意味がアトピーの語源らしい。医者に、「ストレスかな」と言われると、なぜだろう、当時はほっとした気持ちになった。思えば、その時点でおかしかったのだ。

「なおらない」は、「なおしたくない」
「原因不明」は、「じぶんのせいじゃない」
「痒くて眠れない」は、ほんとうのきもちは「やすみたい」

だったのではないだろうかと、いまは分かる。

ありとあらゆる治療法を試して、効いたものもあるし、効かなかったものもあるし、たくさんお金もかけたなあと思う。
最終的に残った箇所は、「顔」のみとなったある時。
ほんとうに治したいのだったら、すべてのいいわけをなくす。
と決めたら、それはつまり、「病院に行かない」になって、いろんなことを「辞める」になった。

アトピーが教えてくれたことはたくさんあって、最終的には働き方が変わった(生き方が変わった)のだが、このからだでよかったなと今は思える。炭鉱のカナリア。危険回避する皮膚。外界に触れるこの敏感なセンサーをもって生まれたことは、後悔はしていない。

ばか正直で、なまけもので、そのくせ責任感が強い、というわけのわからない本性を自分が知ってしまった以上、えらそうな顔をして人と会えない。えらそうにしてしまうと、痒くなる気がすると思う、今日この頃。ここ数年、夏にはちょっと痒くなる時期があるが、ほとんど再発していない。

からだとこころはつながっている、などと簡単にいうが、本当にそうだったという話。落ち着きのなさとかゆみは似ているし、アトピーっ子と多動っ子の動きは似ているし、そもそも皮膚と脳は密接につながっているわけだ、と実体験をもって知った。

※おとなアトピーに私が有効だったもの、別の機会にお話しします。個別相談も可能ですのでお気軽にどうぞ。

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櫻井育子(さくらいいくこ)
生涯発達支援塾TANE 代表(コーディネーター)

「違いは魅力」をテーマに、子どもから大人まで特性を活かしてのびのびと発達するための、アセスメントとコーディネートを行う。
 東北福祉大学福祉心理学科を卒業後,発達障害の子どもたちと出会い、宮城教育大学の大学院で障害児教育を学ぶ。2003年に「NPO石巻広域SSTの会アドベンチャークラブ」を立ち上げる。小学校,特別支援学校の教諭経験後,2016年に退職。生涯発達支援の重要性に気づき「生涯発達支援塾TANE」を主宰。書道塾taneは「誰でも調子に乗れる書道」をモットーに石巻、仙台、各地で移動開催中。TANE相談室も定期開催中。