青年学級での自分を知るコラージュのワーク

「アセスメント」という言葉。おそらく発達支援や学校現場、福祉現場にいる方々にとってはなじみのある言葉。また、ビジネス業界の方にとっても聞き慣れた言葉かもしれません。「アセスメント」=「評価」のことで、客観的に物事を判断して課題を見つけ、より良い方策を練るためのはじめの一歩とも言えます。

特に、認知に偏りが見られる発達障害の子どもたちは、早期にアセスメントをすることで、特性が理解され、適切な支援につながります。乳幼児への発達検査をはじめとする、各種の様々なアセスメントツールを使いながら、こどもたちの「本来の力」を見ること。それは実に大事なことです。

しかし、この客観的なアセスメントの結果から支援方法を考え、実際の支援を行うという方法。実際場面では有効に使われているのかというと、なかなか普及していなかったり、検査をする時間がない、検査結果を読み取れない、などと専門領域であるがゆえに、現場に生かさせれている事例が少ないのも確かです。

客観的な視点にのみ立ち、相手の認知処理だけを分析していくという方法には、限界があることを感じたのは学校現場でなかなかアセスメントが定着しないからです。先生方は、「長年の勘」の方を頼る場合もあるし、実際にはアセスメント結果が直接支援に生かさせれないという本末転倒な場合もありました。(「思い込み」というよくないパターン)

なぜなのだろう。それは一つは、アセスメントが1.0視点、つまり「あなたのことだけ見ます」という視点でしかないこと。人間関係は必ず相手からは自分が見えているもの。しかし、「支援者」という立場になると、「相手には見えていない」存在として振る舞い、相手の達成感を最大に引き出すことが役目!という方が多いのです。

確かにとても重要なものです。支援者が「わたしがわたしが」という人間であるのは、どうかと思う。しかし、「この反応をしたのは、わたしのどんな言葉とどんな表情が影響したのか」、さらには「わたしを前にした時の反応とそうでない場合の反応」、「自分自身(支援者自身)はその時どんな気分でいたか」などということの方が、相手の反応に影響している場合があるのです。

そう考えていくと、アセスメント1.0の視点から、相手と自分の双方向の関係性をアセスメントしていく2・0の視点こそが、「対人援助」という場面において重要なのではないかと考えています。

アセスメント2.0の視点を利用しながら、まず支援者自身の気づきや相手に対する感情を大事にしてもらうこと。客観的なデータそのものが重要なのではなく、それをいかに「本人と周り(支援者自身も含む)の幸せ」につなげるかがとても大事になってきます。福祉現場での支援会議でたまに残念だなあ、と思うのは、支援者が「ご家族の〜」「ご本人の〜」といつも他者視点にしかならず、最も現在近くにいるご自身や法人のことは何も語らない(語ろうとしない)「突き放し支援会議」を見たときです。

観察眼と見立てのできる支援者は、日常観察ややりとりから本人の特性を理解し、適切な支援を現場で作り出していきます。それは単なる「長年の勘」などというものではなくて、支援者自身が自己を捉える能力(2.0視点)を備えているからなのだと思います。相手も大事、自分も大事。だからこそ、あうんの呼吸のような、美しいやりとり、そしてお互いに無理のない関係性ができあがります。アセスメント2.0は、しあわせアセスメントでもあります。

この仕事(福祉や保育や教育)は、そんなに自分を殺してする仕事ではないはずなんです。「客観」とは、「主観」を殺すのではなく、「主観」を持ちつつも自身の判断を疑いながら、相手を信じる。「相手の立場になって、観る」ということなのではないだろうか、と考えています。

※アセスメント2・0の視点を使った勉強会、家族コーディネート、チームコーディネートのご相談は随時受け付けております。

※K-ABC、WISC-Ⅳ等の心理教育アセスメント理論学習会、実施、読み取り等についてのご相談もお受けいたします。

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櫻井育子(さくらいいくこ)
生涯発達支援塾TANE 代表(コーディネーター)

宮城県石巻市出身。特別支援教育士。書道師範。東北福祉大学福祉心理学科を卒業後,宮城教育大学の大学院で障害児教育を学ぶ。インクルーシブ教育の研究をしながら,ソーシャルスキルトレーニングの団体で発達障害のある子どもたちと出会う。2003年に石巻市で,任意団体「NPO石巻広域SSTの会アドベンチャークラブ」を立ち上げる。小学校,特別支援学校の教諭経験後,2016年に退職し,「生涯発達」の視点から教育,福祉を考えるコーディネートチーム「TANE」を主宰。ひとりひとりの違いを楽しんで生きる社会の実現を目指しています。

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