やまなみ工房に見学に行った時に見つけた欠けた地蔵たちの集会

「孤独」という言葉は、そう悪い言葉ではない。
人間は孤独な生き物だ、とか
生まれるときも死ぬときも一人だ、とか
孤独に耐えてこそ一人前だ、とか
孤独を愛する、だとか。
どちらかというと、一人であることを楽しんでいる様子さえある。

一方で、「孤立」というとどうか。
孤立無援
社会から孤立している、とか
クラスで孤立している、とか
職場で孤立している、とか
何やら大きな全体、集合体から一人ぽつんとしているような状態である。

これを混同すると、やはりちょっとまずいと思っている。孤独を悪とする雰囲気には違和感がある。小学校の時から、なぜかグループを作るときにポツンとしていると「一人でかわいそう」となる、あの感じである。いやいや、できれば一人でやりたいことは、一人がいいんですけどね。と言っても、先生方も黙ってはいないので、なんとなく「空気を読める」タイプの子が、「あ、じゃあ私と一緒になろうよ〜」と若干の、上から目線で近寄ってくる、という、あれである。

何かに似ている。独居老人のために地域の集いに引き出そうとする、あれ。引きこもり対策などの名目で問題が生じた途端に近づいてくる、あれ。母子家庭は貧困と結びつけて積極的に「援助」しようとするような、あれ。誤解のないように申し上げれば、何か社会課題に向き合おうとしてくださること自体は悪くはない。悪くはないのではあるが、時になにか、違和感もあるのである。

あのクラスでの、先生の「誰か一緒になってあげて」という圧力と、「かわいそうだから一緒になってあげる」という図式が美しく完成することで、人に優しくするということを若干勘違いして理解する。本当は一人が良かったのに、という心の声も、その時一瞬でも芽生えた「劣等感」、そして一緒になった側に芽生えた「優越感」は、はおそらく誰にも気付かれずに、ずっと消えない。

健全なコミュニティ、というのがはたしてどういうものなのかは見えてはいないが、少なくとも、「同調圧力」がないものが健全である。一人であることを楽しむことができる状態というのは非常に豊かだし、のびのびするものである。もしそれが、「誰かといなくては落ち着かない」というのであれば、どちらかというとその方が不健全だ。

発達障害という概念自体は、「認知の仕組みに特性がある」ということである。つい私も使ってしまうが、大多数の人間をわたしたちは「みんな」と呼ぶ傾向にある。そして少数派を「彼ら」とか、「あの人たち」と呼ぶ。したがって、「発達障害」=「みんなとちがう」という表現はかなり乱暴なのだが、どうしてもこの「みんな」と「障害のある人たち」というわけ方になった瞬間に、「大多数と自分」という孤立感が生まれる。それが、その人を取り巻く家族ごと孤立してしまうような場合さえある。もっというと、その人を取り巻く支援者自身も、そこはかとない孤立感を感じていることさえある。

「福祉の現場にいること」が、まるで「社会からの孤立」のような状態で働いている人もいる。本来はそうではない。福祉は幸せな現場であるはずである。

とてもよい取り組みをしている場所は、その内容がアートだ、とか、おしゃれだ、とか、目立っている、受け入れられている、売れている、などそんな「見えているもの」だけの問題ではない。そこにいる人すべてが、すべてを受け入れているかどうか。もっと具体的に言うと、「人が何もしていないということをそのまま受け入れられるかどうか」「人がひとりでいることを保障できるかどうか」のようなところに違いが出ているような気がする。

どう生きたらいいのか。難しく考え出したらキリがない。孤独であることは自由である。人の自由を奪わないというのはとても大事である。一人一人が孤独であることはとても生きやすいはずである。そうなれば、相手の孤独と自分の孤独をちゃんと大事にできる。比べなければ楽なのだ。「みんな」という概念をできるかぎり疑う。私と、あの人。そうなると、途端、「孤立」がどこかに消えるように思えてならない。


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櫻井育子(さくらいいくこ)
生涯発達支援塾TANE 代表(コーディネーター)

宮城県石巻市出身。特別支援教育士。書道師範。東北福祉大学福祉心理学科を卒業後,宮城教育大学の大学院で障害児教育を学ぶ。インクルーシブ教育の研究をしながら,ソーシャルスキルトレーニングの団体で発達障害のある子どもたちと出会う。2003年に石巻市で,任意団体「NPO石巻広域SSTの会アドベンチャークラブ」を立ち上げる。小学校,特別支援学校の教諭経験後,2016年に退職し,「生涯発達」の視点から教育,福祉を考えるコーディネートチーム「TANE」を主宰。ひとりひとりの違いを楽しんで生きる社会の実現を目指しています。

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