オンラインお助け猫。

オンライン授業が大学や専門学校では主流となり始め、先駆けている場所から、すでに「目が疲れる」「集中しすぎて疲れる」などの声が上がっている。

私も数は少ないが、オンラインでのやりとりは以前からやっていたとはいえ、どうも疲れるなあと思う場面が多かった。画面の範囲に視点を固定するというのは思いの外疲労する。そこで、先日ただただ勢いで縫ってしまった、写真のようなものをいったん画面に登場させ、私自身も休憩し、相手の視点を意図的に外し、両方の疲れを緩和させるという手段を思いついた。

画面に変化があると、集中力が戻ることが分かった。遊び心が分かる相手とのやりとりではおすすめしたい。(人は選んだ方がいいかもしれないが、子どもとのやりとりでは特におすすめ。)また、ついつい「頑張り過ぎる」という状況にも陥りがち。遊び心、与え過ぎないこと、間、とかそういうことも忘れてはいけない。

私たちのコミュニケーションのうち、対面方式の会話、というのが主な方法であるというだけで、実はもっとたくさんの方法がある。聴覚障害の方の手話や、視覚障害の方の点字と音声など、また、障害によっては、視点入力システム、現在だと脳波による伝達、絵カードや写真などを使った音声言語ではない方法など、実に多種多様な方法の意思疎通方法がある。もちろん、遠隔地とのやりとりで使えるものとなると、限られてしまうが、こうした分野がそれぞれ独立したものではなく、すべての人が使えるようなつながり方もこれからは重要かもしれないなあと思う。

オランダではスタンダードに教室掲示に活用されている、指示の信号機。赤は静かに聞く、黄色は話し合いOK、のようなものは、実は特別支援の手法としてもよく使っていた。「口で何度も言わなくていい」という消極的な使用ではない。大事なのは、「自分で気づき、自分で考える」という「自立」のためのツールなのだ。こうしたものはオンラインだろうがリアルであろうが、大事なことは同じだと思う。

基本的には学習効果は、多感覚入力(「見る」とか「聞く」だけではなく、いろいろな感覚を使うこと)が有効ということもあり、人によっては黒板の前で先生が一方的に話す授業、というものよりは、スライドを使ってビジュアルに訴える授業の方が学習効果が高い場合もある。

しかし、画面の「見る」範囲が狭められてしまうことや、そもそもスマホ視聴だと視点の固定による疲労、身体的な影響は相当ある。人と視線を合わせなくてもいいというストレスが軽減されるので、もしかしたら楽な人もいるかもしれないが、やはり得る情報は少なくなるため、今までとは違った形の学習困難性や、特性に応じた情報提供がますます必要となる。

特にライブでの授業を受けるとなると、「あ、聞いてなかった、わかんない」という時に振り向いて「ねえ、なんだっけ」と聞ける相手もいないので、孤立する感覚もあるだろう。どちらかというと、心理的なサポートも必要だ。「集団で受ける授業」という前提そのものもちょっとここで立ち止まって考えないといけない。「授業態度」や「出席点」とか。評価の仕組みも相当変化していくことになるだろう。

今年からある保育関係の専門学校で授業を担当するのだが、すでに方向はオンデマンドとオンラインになりそうだ。かなり様々な学生の状況を汲み取りながら、専門学校の学びとは何か、ということも考えられるのだな、とも思う。

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櫻井育子(さくらいいくこ)
生涯発達支援塾TANE 代表(コーディネーター)

宮城県石巻市出身。特別支援教育士。書道師範。東北福祉大学福祉心理学科を卒業後,宮城教育大学の大学院で障害児教育を学ぶ。インクルーシブ教育の研究をしながら,ソーシャルスキルトレーニングの団体で発達障害のある子どもたちと出会う。2003年に石巻市で,任意団体「NPO石巻広域SSTの会アドベンチャークラブ」を立ち上げる。小学校,特別支援学校の教諭経験後,2016年に退職し,「生涯発達」の視点から教育,福祉を考えるコーディネートチーム「TANE」を主宰。ひとりひとりの違いを楽しんで生きる社会の実現を目指しています。

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