4/17 OTONA書道部にて

書道は真っ白い紙に、真っ黒い墨で書くもの、、、。という概念をくつがえするOTONA書道。今回のテーマは「白黒反転」。はじめから黒い画用紙に書くもよし、自分で好きな濃さにした墨で下地を作ってそのうえに白で書くもよし。

そもそも私たちの体と心と「色彩」は関係が深い。最近の研究では、光の波長の反射を過敏に受け取ってしまうために読み書きに影響したり、集中力に影響していることが分かってきた。そこで、白い紙では読みにくかったり目が疲れたりしてしまう方向けに、カラーフィルムを乗せるなどの工夫ができるようになったりしている。また、最近では「黒いノート」というものも販売されていて、その学習効果や特性に応じた効果が出ているようだ。

今回は、「黒い紙に白い文字ってかっこいい」「いつもの白黒を反転させるっておもしろい」という遊び感覚で取り組んでみたものの、なんと「いつも以上に深く集中できた」「自分のやっていること以外に気が散らなかった」などの感想が寄せられた。いつもはわりと飽きやすいタイプの人が集中している!

間違い探しも楽しんでください、、、!

実は心理的にも、白に黒で書くというプレッシャーよりも、黒に白で書くという場合の抵抗が少ないというのもある。コントラストが明確なためにいつもの「書道」のイメージから離れ、造形的、芸術的な作品として自分の書いたものを客観視できるのも特徴かもしれない。ほぼ全員がいつも以上に制作を量産していた。そして何よりも、深く自分自身の書に入り込んでいたような気がする。

マインドフルネス、という言葉は聞いたことがあっても日常では意識できないという方が多いと思われる。この場所でただひたすらに描(書)きたいものを描(書)くという行為は、実はそれそのものである。OTONA書道部は、いい「おとな」が、一心不乱にひたすら書くだけの場である。例えば、作品展に出すとか資格取るとか上手くなるとか、そういった「目的」すらない。

かっこいいのができた!と持っていく人もいるし、ああ書いた!書いた!と捨てていく人もいる。毎回このあたりもなんだかほんとに自由。比べないことや気にしないことや自分の表現を認めること。なかなか大人たちが味わいきれていないことが多い。擬似体験だろうがなんだろうが、この心地よさが心理的安全であり、「居場所」ってやつなのかもしれない。

いつも18:00から20:00までの2時間だが、びっくりするほどあっという間に過ぎてしまう。楽しく参加していただけてよかった。そして思いがけない効果も発見できた。

次回は5月15日(土)18:00〜20:00、耕人館にて開催します。

素敵な皆さん、ありがとうございました!

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櫻井育子(さくらいいくこ)
生涯発達支援塾TANE 代表(コーディネーター)

宮城県石巻市出身。特別支援教育士。書道師範。東北福祉大学福祉心理学科を卒業後,宮城教育大学の大学院で障害児教育を学ぶ。インクルーシブ教育の研究をしながら,ソーシャルスキルトレーニングの団体で発達障害のある子どもたちと出会う。2003年に石巻市で,任意団体「NPO石巻広域SSTの会アドベンチャークラブ」を立ち上げる。小学校,特別支援学校の教諭経験後,2016年に退職し,「生涯発達」の視点から教育,福祉を考えるコーディネートチーム「TANE」を主宰。ひとりひとりの違いを楽しんで生きる社会の実現を目指しています。