9月1日の、みんなで知ろう「道草」上映会。午前午後ともに、満員御礼で、大盛況のうちに終えることができた。この日に向けて、ほぼ思いつきでスタートを切り、アドベンチャークラブメンバースタッフとプロジェクトチームでそれぞれに準備をし、ほとんど事前準備なしでスタートしたため、案の定、当日自分が一番焦っていた。

開始前にブルーレイの映像が映らない!という致命的トラブル。焦るしかできないわたしをよそに、もう一台のプロジェクターを淡々と準備をしていくみなさんに惚れ惚れしながら、気がついたら満席になっていた。

代表あいさつで話してくれた、Sくん(なんと前日誕生日で29歳になったのだった!)は、緊張するだろうなあという予想をあっさりと裏切り、「緊張してない!」とトークイベントで言い切り、副代表のKくんに至っては、眠くなったらしくトーク中に目をつぶっていた。なんと度胸の据わっているのだろうか!

この彼らの面白さ、たのしさ、自由さ。同時に痛々しいほど想いが伝わらないことで暴れたり、傷ついたり、傷つけたりしてきた時代もあることを知っているものとしては、この映画を一緒に見るということへの漠然とした不安もあったのだ。果たして本人たちは何を思うのだろうか。

「いろんな立場で、また見たい」と言ってくれたスタッフがいた。彼女もまた、小さい時から彼らを知っている。知っているからこそ、理解していることもあるし、理解している「つもり」になっていることもあるのかもしれない。そんな思いにもなった。

「道草」という映画は美しい。風景が、音楽が、登場人物の関わりが、視線が。くるしさ、おかしさ、ずれ、わからなさ、そういうものに解釈をするのではなく、「そうなのである」と、ただただ存在をみせてくれるような感じ。そして、介助者がときおり話す、自分自身に向けた視点がわたしは好きだ。わたしたちは、自分自身のことを、完全なものだなど、思ってはいないのだ。

分からない、分かりたい、近づきたい、そんな中で、誰一人同じ人はいなくて、とにかくわたしたちは関わりあって生きている。人と人が一緒にいるということには、そもそも障害があるのだとわたしは思う。そこに、自分のペースというものがあり、それを大事にしてくれる存在と出会い、相手を分かろうとする、相手と楽しもうとする、分かって欲しいと願う。

完璧な支援などというものはない。一方で、様々な支援の方法論があり、解明されてきた脳科学分野からの見解などもある。関わり方に関しても、研究は進んでいる。しかし、「人と人が出会う」ということはそれだけではないたくさんの可能性があると思うのだ。一方的なものではない。関わり合っているのだということ、まっすぐな道を行くだけでは見えないものを、教えてくれているような気がするのだ。

出会った人が、自分と違うから面白い。
出会った人が、分かり合えないから豊かになる。
出会った人が、大事だからこそ苦しくなる。

宍戸監督をはじめ、今回の上映会に携わってくださった方々が大事すぎて、尊過ぎて、この1日を大切にしたくて、わたしはとても緊張していたということがわかった。そこにいる人たちの顔を見るだけで涙が出そうになった。こんなにも大切な人たちに出会ってきたのだと思うと嬉しかった。そしてこの素敵な人たちが、アドベンチャークラブのメンバーと出会ってくれたこと、たくさんの、さまざま来場者の皆さんと出会えたこと、本当に尊い1日だったと思う。

心の底から感謝を込めて。
また近々、「道草を語る会」を開催予定です!

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櫻井育子(さくらいいくこ)
生涯発達支援塾TANE 代表(コーディネーター)

宮城県石巻市出身。特別支援教育士。書道師範。東北福祉大学福祉心理学科を卒業後,宮城教育大学の大学院で障害児教育を学ぶ。インクルーシブ教育の研究をしながら,ソーシャルスキルトレーニングの団体で発達障害のある子どもたちと出会う。2003年に石巻市で,任意団体「NPO石巻広域SSTの会アドベンチャークラブ」を立ち上げる。小学校,特別支援学校の教諭経験後,2016年に退職し,「生涯発達」の視点から教育,福祉を考えるコーディネートチーム「TANE」を主宰。ひとりひとりの違いを楽しんで生きる社会の実現を目指しています。

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