あなたはどういう暮らしをしているのか、どういう思想を持っているのかという問いに対して誰しも平常時には声高に語らない。しかし非常時になった途端に、「内」にあったものが「外」に簡単に放出されてしまう。

感受性の強い人たちは敏感にそれを察知する。見えなくてもいいものも見えるようになるが、実際にはいつもただ単純に「内」側にあるから見えないだけの問題である。

「内」と「外」。これは「家族」と「社会」とか、「身内」と「よそもの」とか、「社員」と「非正規雇用」とか、「内部」と「外部」とか、「わが国」と「外国」とか。これは、自分自身がどこに身を置くかによって、「内」なのか「外」なのかが変わるが、人間は非常事態になると、排他的になり、所属意識も強くなる。許せるものの範囲もぐっと狭くなったりする(だから非常時に離婚が多い)。危険を感じると境界線をきちんと守って、引きこもるというのは、もはや動物的な本能であり、そうやってきっと命を守ろうとする。しかし、実際には「社会的役割」を生きなくてはならず、そのジレンマでおそらく恐怖に駆られ、イライラしたり精神的なバランスを崩すのだと思う。

「家にいましょう」というメッセージが強まれば強まるほど、「ああ、人は外に出ることを本来は価値としていたんだな」ということが分かる。一方で、私の知っている障害のある青年たちの多くは、社会が変化しようと、法人の車両で自宅までお迎え、事業所から家まで一切、「外」とは触れ合わない生活ぶりは、今現在はもっとも安全な生き方かもしれないという皮肉。インクルーシブが程遠かったことも露呈している。

しかし一方で、今だからこそ社会から遠ざからないように、福祉施設にもオンラインや外部情報や他者との接触の機会をどう作っていこうかと、様々な事業所が工夫し出している。もしかしたら、逆に善いチャンスかもしれない。「安全に外につながる」ということをとってみれば、もはやすべての人が障害者の状態である。ここにしっかりとインクルーシブの考えが入ることで、自宅(個人)から簡単に福祉施設以外の場所とつながるきっかけが生まれるのかもしれないのだ。

さて、とはいえ現在は外部コーディネーターである我々はすべての場所から遮断されている。今できることを考えるしかないのだ。とりあえず「内」と「外」の感覚は外しておきたい。というか、二元論では考えない世界に自分を置いておく。脳内インクルーシブ状態(?)をキープすることは重要だ。そして、大人も子どもも学び続けることは提供し続けたいし、発信は続けたい。

5月17日は、オンラインつなぎめ講座。お申し込みはこちらへ。
zoomを使用しての初めての講座開催となります。セキュリティ対策としてパスワードの設定等の対応をし、お申し込みの方に個別にご案内いたします。

学びたい、相談したい、聞いてほしい、とりあえずなんかしたい、などのメッセージもぜひお寄せください。お問い合わせからぜひどうぞ!

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櫻井育子(さくらいいくこ)
生涯発達支援塾TANE 代表(コーディネーター)

宮城県石巻市出身。特別支援教育士。書道師範。東北福祉大学福祉心理学科を卒業後,宮城教育大学の大学院で障害児教育を学ぶ。インクルーシブ教育の研究をしながら,ソーシャルスキルトレーニングの団体で発達障害のある子どもたちと出会う。2003年に石巻市で,任意団体「NPO石巻広域SSTの会アドベンチャークラブ」を立ち上げる。小学校,特別支援学校の教諭経験後,2016年に退職し,「生涯発達」の視点から教育,福祉を考えるコーディネートチーム「TANE」を主宰。ひとりひとりの違いを楽しんで生きる社会の実現を目指しています。

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